會田瑞樹の創作は聞くものにどこか「懐かしさ」と、どこかほのかに漂う新鮮味、あるいは底知れぬ「仄暗さ」を伴う。會田は自身の創作について3つの言葉で解き明かす。「情念」すなわち、人間の底知れぬ感情の噴出。「土俗」すなわち、根源的な生の衝動。「遭遇」すなわち、様々な文化が出会い縺れ合い昇華する。その作品は第10回JFC作曲賞入選をはじめ、リトアニア聖クリストファー作曲コンクールLMIC特別賞を二度に渡り受賞するなど、国内外での評価は年々高まりを見せている。近年は塩竈市立第三中学校の委嘱に応えた教育的打楽器アンサンブル作品、タイで開催された現代音楽祭—竹の対話—招聘作品《日比谷》(詩:萩原恭次郎)、バロックフルート奏者永野伶実氏委嘱作品《優しい女》、ガムランアンサンブルグループマルガサリ委嘱作品《蓮華》《都市生活者の子守唄》、リトアニア聖クリストファー室内合奏団委嘱作品《Stardust –Concerto for Vibraphone and Strings Orchestra—》等、国内外で次々と新作を発表し、同時に活発な演奏活動も展開。まさに音楽業界の二刀流と言っても過言ではない活躍ぶりを見せている。さらに本公演は2021年、會田瑞樹はかなっくホールレジデントアーティストに就任以降、作曲、演奏で活発な創作活動を展開。作曲・演奏を手がけたかなっくホール主催事業「テアトル図書館へようこそ!”あらしのよるに”」は異例のロングラン公演が続いた。かなっくホールで収録を行なった4thアルバム「いつか聞いたうた」は第59回レコードアカデミー賞を獲得するなど、様々な可能性を模索してきたレジデントアーティスト在籍4年の集大成を飾る、會田瑞樹かなっくホール卒業記念公演である。