アルペンミュージックオフィス 吉 村 直 美(ピアノ) イブニング コンサートⅡ


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これは既に終了した演奏会です。
日時: 2015年11月12日(木)
会場:
南麻布セントレホール(「広尾駅」1番出口より徒歩6分)

曲目:
モーツァルト
 ピアノソナタ第10番 ハ長調 K.330
モーツァルト
 「幻想曲」ニ短調KV397
モーツァルト
 「きらきら星変奏曲」K 265
シューベルト
 即興曲 作品90:第1番 ・第2番
シューベルト(原曲)、リスト(編曲)
 「ウィーンの夜会 第6番」 (シューベルトのワルツカプリスによる)


ハンブルグ・ヨハネス・ブラームス音楽院客員教授。
国際ブラームス協会会員。
全ドイツ演奏家教育連盟会員 
スタインウェイアーティスト

魂の葛藤と慰め
イブニングコンサート第二回目のテーマは、オーストリア・ウィーンです。歴史的にも、重要な役割を果たした街ですが、多くの著名な音楽家を育て上げるほどの影響力がある街です。今回は、そのうち3人の作曲家を順に取り上げました。

始めは、その1人であるウィーン生まれのアマデウス・ヴォルフガング・モーツァルトです。その名は、神童または天才の代名詞としても、世界中に知れ渡っています。モーツァルトの調べには、聴く者を、純白な癒しへと誘い、天国をまだ見ていない現代に生きる者にも、天界の音楽を認知させるほどまでの影響力があります。ウィーンに現存するお墓には、優しく寄り添う天使が象徴的に切り刻まれていることにも、そのことが伺えます。ピアノソナタの弛緩楽章は、まさにそのメロディーとも言えます。しかし同時に、モーツァルトに向けられた天使の眼差しが、悲しみの同情で溢れていることから想像できるように、モーツァルトの最後は、穏やかではなかったとされています。一説として、毒殺等がありますが、晩年の作品は謎に包まれた不幸な死を暗示させるようなメッセージやメロディーが遺されています。「レクイエム」そして同じ調性で作品された「幻想曲ニ短調」に現れています。また、それとは対象的に、元来の天真爛漫なユーモラスで、聴く者を微笑みへと誘う影響力も有しています。「きらきら星変奏曲」(原語直訳)「ああ、お母さん、聞いてください、による12の変奏曲」には、モーツァルトの笑い声がたくさん聴こえてきます。

そして、2人目がモーツァルト弟子の影響力を大いに受けて、後に大成を成した、ウィーン生まれのフランツ・シューベルト。歌曲王と呼ばれるまでに至ったほど、母国語であるドイツ語調べと音楽を見事に融合させ、一つの芸術を確立させました。そのことにより、メッセージ性を持った芸術と政治が影響しあう時代に入り、重要な歴史の一部として刻まれるに至りました。シューベルトの生涯は、決して恵まれたものではなく、作品にはには多くの葛藤が見受けられます。晩年は、多くの作曲家と同様、事実上は不幸に終わっていますが、遺された曲を聴くものには、天国へ至る慰めのうちに亡くなったのではと、明確に想像させる作品も多く遺されています。即興曲には、こうした2つの対象的なキャラクターが交互に織り成しています。

プログラム最後の3人目となる作曲家は、フランツ・リストです。当時の、オーストリア支配下のハンガリー王国であり、現在はオーストリアに帰属している土地の出身であり、ウィーン音楽院にて、現地の影響を多大に受けながら、作曲家のみならずピアニストとしても大活躍しました。今回は、リスト自身が大いに影響を受け伝統を引き継いだシューベルトのワルツを、ウィーンを華やかな社交界として描写し編曲した曲を、最後にお聴きいただきます。

皆さまと、音楽の都ウィーンを一緒に味わえれば幸いです。
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