ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック ~オール・久石譲・プログラム~
これは既に終了した演奏会です。日時: 2024年11月10日(日)
会場:
彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール
曲目:
久石譲:
揺れ動く不安と夢の球体(for two marimbas)
久石譲:
アルバム『フェルメール&エッシャー』よりMuse-um(for piano)
久石譲:
アルバム『フェルメール&エッシャー』よりVertical lateral thinking(for piano trio)
久石譲:
アルバム『フェルメール&エッシャー』よりEncounter(for piano quintet)
久石譲:
アルバム『ヴィオリストを撃て』よりKids Return
久石譲:
アルバム『ヴィオリストを撃て』よりMKWAJU
久石譲:
アルバム『ヴィオリストを撃て』よりLEMORE
久石譲:
アルバム『ヴィオリストを撃て』よりTIRA-RIN
久石譲:
アルバム『ヴィオリストを撃て』よりDA・MA・SHI・絵
久石譲:
アルバム『ヴィオリストを撃て』よりSummer
この「ジャパニーズ・ミニマル・ミュージック ~オール・久石譲・プログラム~」は、時潮を捉えた見事な企画だ! 何故なら昨年2023年3月にクラシック音楽の名門レーベルであるドイツ・グラモフォンと独占契約を発表。ジブリ音楽をシンフォニックに構築し直したアルバムや、交響曲第2番とViola Saga(現状世界トップのヴィオラ奏者アントワン・タメスティが独奏者)を収録したアルバムを全世界へむけてリリースしているのだ。久石譲といえば、数々のスタジオジブリ作品や北野武作品を手掛けた映画音楽の大家というイメージが強いかもしれないが、今まさに久石は映画音楽のみならずクラシック音楽の文脈で書かれた作品も再評価されている段階なのである。
久石自身も日本国内でこの10年ほど、室内アンサンブル規模の作品を軸にした演奏会シリーズを企画しているが、そこで取り上げられる久石作品は近作・新作が中心。なので映画音楽でもなく、近作で再度取り上げられてもいない久石作品は長年のファン以外からはあまり知られていないのが現状である。そうしたアルバムのひとつが、今回の演奏会でメインに据えられた『ヴィオリストを撃て』(2000)だ。久石自身も当時「自分の代表作ができた」と語っていた重要作で、隠れた名作の筆頭格である。なかには他のアルバムにも収録されたお馴染みの楽曲もあるのだが、このアルバムに収録されたアレンジは久石の音楽を構成する現代音楽(ミニマル)、クラシック(抒情的な映画音楽)、ポピュラー(特にプログレ)の要素が絶妙なバランスで混在しており、ある意味では久石譲という作曲家らしさが最も表れた傑作といえる。
演奏を担うのは音楽監督を務めるピアニスト・指揮者の中川賢一のもとに集まった精鋭たち。2022年にザ・フェニックスホールで挑んだフィリップ・グラス『浜辺のアインシュタイン』(演奏会形式・抜粋版)は令和4年度 文化庁芸術祭《大賞》受賞するほどの大評判になったチームなので、ミニマル・ミュージックへの理解もとても深い。
クラシック音楽の歴史を振り返ってみれば、作曲家自身のもとを離れたあとにこそ作品の真価が試される。今回演奏される『ヴィオリストを撃て』や『フェルメール&エッシャー』等から、中川たちはどんな新しい可能性を引き出してくれるのか? 絶対に聴き逃がせないコンサートになりそうだ。
小室敬幸(音楽ライター)
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出演:中川賢一(ピアノ/音楽監督)
石上真由子(ヴァイオリン)
森岡聡(ヴァイオリン)
安達真理(ヴィオラ)
鈴木皓矢(チェロ)
長谷川順子(コントラバス)
大石将紀(サクソフォン)
井上ハルカ(サクソフォン)
畑中明香(パーカッション)
宮本妥子(パーカッション)
※久石譲の出演はございません
*上記曲目以外にも『フェルメール&エッシャー』より数曲演奏いたします。
詳細はHPをご覧ください。
https://www.saf.or.jp/arthall/stages/detail/100382/
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