シンフォニエッタ静岡 第75回定期公演  芸術家が先を進んでいるわけではない。多くの人が追いついていないだけだ。


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これは既に終了した演奏会です。
日時: 2023年10月5日(木)
会場:
三鷹市芸術文化センター 風のホール

曲目:
ヴァレーズ:
 Nocturnal ノクターナル 日本初演
  メゾ・ソプラノ: 鳥木弥生
ヴァレーズ:
 Déserts 砂漠
  エレクトロニクス: 有馬純寿
ヴァレーズ:
 Density21.5 比重21.5(初演版) 日本初演
  フルート: 菅原彩乃
ヴァレーズ:
 Intégrales 積分
ヴァレーズ:
 Hyperprism ハイパープリズム
ヴァレーズ:
 Offrandes 捧げもの
  メゾ・ソプラノ: 鳥木弥生
ヴァレーズ:
 Un grand sommeil noir 暗く深き眠り
  メゾ・ソプラノ: 鳥木弥生

指揮:
   中原朋哉

あなたは、まだ、ヴァレーズの音楽を知らない。(沼野雄司)

エドガー・ヴァレーズ。

 彼が生まれたのは、後期ロマン派の音楽が爛熟しきった19世紀末である。ドイツ・オーストリアでは調体系が崩れはじめ、フランスでは印象主義が華やかな頂点に達した時代。ヴァレーズはその中で、パリ、トリノ、ベルリンと次々に居を変えながら、しかし、誰も書いたことのない乾いた響きを――空間を鋭く切り裂きながら、何筋もの音が四方八方から降り注ぐ奇怪な音響空間を――ひたすら求め続けた。

 やがてヴァレーズは、重苦しい伝統が充満するヨーロッパという軛を逃れ、アメリカへと渡る。しかし、この新天地においても、彼の作品は徹底的に拒否された。当然だろう、こんな音楽はそれまでどこにも存在しなかったのだから。

 しかし21世紀、ヴァレーズが生まれてから百年以上がたって、ようやく、この異形の作品群にも光が当てられるようになった。中原朋哉率いるシンフォニエッタ静岡による、オール・ヴァレーズ・プログラムはそんなヴァレーズ復興を象徴する一夜になる。

 なにしろ、単に中期のアンサンブル作品が演奏されるだけではない。なんと、これまでほとんど知られていない「比重21.5」の初演版、そして最晩年の呪われた問題作「ノクターナル」という二つの日本初演が含まれている!この夜、あまりにも早すぎた前衛の全貌がようやく明らかになるだろう。あなたはまだ、本当のヴァレーズを知らない。
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