新交響楽団 第264回演奏会


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これは既に終了した演奏会です。
日時: 2024年1月8日(月)
会場:
東京芸術劇場コンサートホール

曲目:
シュレーカー
 あるドラマへの前奏曲
マーラー
 交響曲第10番(クック版)全曲

指揮:
   寺岡 清高

【マーラー 9つの交響曲のその先へ】
 マーラーは交響曲に革命を起こした作曲家です。1860年に生まれドイツ後期ロマン派の最後の方で活躍しました。主要な作品は交響曲ですが、その規模や表現方法において革新をもたらし、9つの交響曲(「大地の歌」を入れると10曲)を完成させました。今では多くのクラシック音楽愛好家に支持され、どの曲も人気があると言ってよいでしょう。
 マーラーはウィーン音楽院に学んだ後、指揮者としてのキャリアを積み、37歳にはウィーン宮廷歌劇場(現在のウィーン国立歌劇場)の芸術監督となり絶頂期を迎えます。49歳でニューヨーク・フィルの指揮者となり、交響曲第9番を完成させた後、さらにその先を行く交響曲第10番の構想を描き始めます。しかし咽頭炎を患い敗血症で亡くなりました。51歳でした。
 未完の交響曲第10番は、第1楽章がほぼ完成しているものの第2~第5楽章は大まかなスケッチとして残されました。国際マーラー協会は第1楽章のみを出版しており、第1楽章単独で演奏されることが多いのですが、補筆によるいくつかの全曲完成版が存在します。中でもイギリスの音楽学者デリック・クックによるものが広く受け入れられています。
 そもそも、マーラーは第10番のスコアを焼却するように妻アルマに言い残したらしいのですが、形見として残し自筆譜のファクシミリを出版しました。アルマの娘婿であるクルシェネクに補筆を依頼し、ほぼそのままの第1楽章と途中までオーケストラ譜ができていた第3楽章を補筆して完成させ、ウィーン・フィルにより初演されました。ファクシミリ版を見た何人かの人は、その音楽が感動的でかつ補筆可能と判断し、全楽章をオーケストラで演奏することを目指しました。その一人がクックで、1960年にBBC放送のマーラー生誕百周年を記念する特別番組で演奏され放送されました。それに激怒したアルマは演奏を禁止したものの、演奏テープを聴いたアルマは感動し禁止を解除、その後もクックは補筆作業を続け、非常に信頼性の高いものとして認められるようになりました。


【シュレーカー ドイツロマン派のその先へ】
 シュレーカーは1876年生まれ、マーラーと同様にユダヤ人でウィーン音楽院に学び、指揮者をしながら作曲を行いました。
 基本的に調性があるが高度な技法を取り入れた独自の作風で、指揮者エッシェンバッハは「マーラーの交響曲作りの書法を丸ごと新しいレベルに引き上げた」とも言っています。
 主にオペラを作曲しており、その代表作が『烙印を押された人々』で当時は大変ヒットし、シュレーカー自身もウィーン音楽院の教授に任命され影響力を持つ作曲家になったものの、ナチスの弾圧にあい、失意の中脳梗塞で亡くなりました。55歳でした。
 今回演奏する「あるドラマへの前奏曲」は、歌劇『烙印を押された人々』の完成前に、この歌劇の前奏曲に他場面の音楽を書き足して編纂されたものです。
 どうぞお楽しみに!
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