東京アカデミーオーケストラ 第42回定期演奏会

これは既に終了した演奏会です。
日時: 2012年11月18日(日)
会場:フィリアホール

曲目:
中田恒夫(当団団員): Path to The Ray 世界初演
ドヴォルザーク: 弦楽セレナーデ
ブラームス: ハイドンの主題による変奏曲
モーツァルト: 交響曲第40番


音楽の因数分解 音楽の三要素というのを中学の音楽の授業で習った記憶はありませんか? 音楽とはリズム・音程・音色の三つで構成されている、というものです。本日演奏する作品を、これらの要素に因数分解してみたらどうなるでしょう? 「Path to the Ray」は当団の団員による作品で、作曲者と対話しながら音楽制作できるというのは現役作曲家の作品ならではですが、リズムの"譜割り"について、ジャズの要素を取り込んだ変拍子を作曲家とともに文字通り因数分解しながら構築しました。ドヴォルザークは、親友ブラームスをして「ドヴォルザークがダメだと思ってゴミ箱に捨てた楽譜の断片で自分は一曲書ける」と言わしめた名旋律家です。「弦楽セレナーデ」では、彼による美しい旋律がふんだんに楽しめます。また、弦楽合奏という同属楽器だけの合奏であるが故に、むしろ奏法による音色の違いが際立ちます。ブラームスは生前、過去の作曲家の楽譜を蒐集したり古い楽曲形式の研究をしており、その中にはモーツァルトの交響曲第40番も含まれています。そんな彼は、ハイドン作といわれる「聖アントニオのコラール」を主題に変奏曲を作りました。彼は交響曲第1番を世に出す前に、この『ハイドンの主題による変奏曲』やTAOでも演奏した『セレナーデ第1番』などを作り、管弦楽の楽器法、オーケストラの音色を研究しました。またこの曲は、クラシック音楽の標準である8小節単位ではない10小節という個性的な主題でできています。フレーズをどのように区切って捉えるかという、フレーズの因数分解の要素もあります。最終変奏はパッサカリア形式という彼が第4交響曲でも使用したバッハ時代の古い形式が用いられています。モーツァルトの交響曲のなかでも二曲しかない短調作品の一つである第40番。この曲の調性であるト短調は高い精神的集中とデモーニッシュな要素を要求します。目まぐるしく転調を繰り返しながら、最後までト短調の呪縛に私たちを縛り付けます。さて、このように因数分解できるのですが、これは演奏者側の裏事情です。心地よい、楽しい、格好いい、恐ろしい。思うまま、ありのままに感じて、何かを受け取って頂ければ幸いです。
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