弥生室内管弦楽団 第56回演奏会≪創設40周年 特別演奏会≫
これは既に終了した演奏会です。日時: 2024年6月23日(日)
会場:
船橋市民文化ホール
曲目:
ブラームス:
交響曲第1番
水野修孝:
オーケストラ2004 世界初演
水野修孝:
日本の旋律によるコンポジション第3番「四国」
小出英樹
弥生室内管弦楽団は40周年を迎えました。記念演奏会に相応しく、名曲ブラームスの交響曲第1番を演奏いたします。多様性の時代となった現在では違ったものになってきているでしょうが、かつては世界中のオーケストラにとって、チャイコフスキーの交響曲第5番と双璧をなす定番曲でした。この作品については、完成まで21年間熟考を重ねたとか、ベートーヴェンを意識し継承した(特に第5番や第9番)作品であるとかが語られますが、ブラームスが独自の書法を熟成させ、自信をもって発表した作品であることをお聴きいただければと思います。力点をズラして開放的にならず、負荷エネルギーを高めていき、重々しい音を生み出すのがブラームスらしさです。
水野修孝氏は今年卒寿(90歳)を迎えた日本の現役最長老作曲家のひとりで千葉県在住です。当団は2015年の交響組曲「イノセント・ムーン」の世界初演以来、氏の作品を継続的に演奏する「水野修孝プロジェクト」を開始し、これまで5作品を演奏してきました。今回は世界初演を含む2作品を一挙上演いたします。
「オーケストラ2004」は1966年に作曲された「オーケストラ1966」の確定記譜版です。元となっている「オーケストラ1966」は1973年に改訂され、NHK交響楽団による演奏がキングレコードによりCD化されました。その後、千葉大学管弦楽団のために「オーケストラ1981」として拡大化し、2004年に確定記譜版として再度改訂した、いわば作曲家お気に入りの作品群なのです。旋律や和音といった甘い要素をすべて排除した全編前衛的な現代音楽で、さまざまに変容するクラスター(音の塊)による独自の響きと、不確定な要素を楽譜に導入することによって演奏者の自発性を高めることに成功しています。
日本の旋律によるコンポジション第3番は1964年に作曲され、「ヨイトマケ」「金毘羅ふね」「よさこい」「阿波踊り」の4つの四国の民謡が使われている親しみやすい作品です。日本の旋律によるコンポジションは第6番までありますが、この第3番がもっとも気合の入った作品で、「よさこい」と「阿波踊り」の間に挟まれた「ドラム合戦」に水野音楽の本質が集約されています。櫓太鼓に向かって同じリズムを延々と叩き続けようとする奏者と、混乱させるために次々に新しいリズムを繰り出す奏者とのリズムのぶつかり合いを、行司役の奏者が裁く構図がユニークです。フィナーレの「阿波踊り」ではオーケストラのエネルギーが爆発します。
水野修孝青年期1960年代の2作品ですが真逆の音楽性で作曲されています。是非ともご来場のうえ、裾野の広い水野ワールドをお楽しみください。
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